DeNA プロジェクトオーナーが語る「マンガボックス」のUI・企画・ビジネスモデル

(2014/03/13 更新) ビジネスデザイン | ,

前回に引き続き、「非ゲーム系アプリ ビジネスモデル最前線」というイベントのレポートです。

前回:Moneytree創業者が語る、10年後を見据えたビジネスモデル
今回:DeNA プロジェクトオーナーが語る「マンガボックス」のUI・企画・ビジネスモデル

お話いただいたのは、DeNAプロジェクトオーナーの川崎渉氏。マンガ好きだそうです。「好きこそものの上手なれ」でしょうか。

以下、講演メモです。

 

「マンガボックス」のUI・企画・ビジネスモデル

マンガボックスとは

Mangabox

・アプリで読める週刊誌
・人気作家の描き下ろし連載
・基本無料
・複数出版社の作品が掲載
・同時に世界配信

ダウンロードの7割がiOSとのこと。

 

なぜDeNAがマンガを?

・DeNAはマンガ原作のゲームを出している

・マンガ業界の背景:
 雑誌発行部数が毎年現象 = 発表の場が減少、 but マンガ需要は存在

→マンガ発表の場を再び拡大すべく、プラットフォームを作ることにした

・行動を変えるインパクト
 有料のものを有料で提供 →普通
 無料のものを無料 → 無駄
 有料のものを無料 → 驚き!

・モバゲーのプラットフォーム構造を、マンガボックスにも適用:
 「DeNA/デベロッパー → mobage → ユーザー」
   ↓
 「DeNA/漫画家/出版社 → マンガボックス → ユーザー」

・マネタイズに関しては「単行本化」「映像化」「ゲーム化」これらのトータルでお金を稼げればいいと思っている

 

コアメンバー

・プロジェクトマネージャー
・iOSエンジニア
・Androidエンジニア
・サーバーエンジニア
・UI/UXデザイナー

 

開発中の意識

・永続的な成長モデル

永続的な成長モデル
※配布資料より転載

・プロモ流入:CM効果で2万DL/Day → 8万DL/Dayへ

・顧客獲得単価は結果的にテレビCMが一番安かった

 

初回利用:4つの譲れないこと

1. 登録不要

・継続者に対して入力をお願いしている。ポップアップを出した10%が入力してくれている。

2. チュートリアルは最小限

・「ここチュートリアルに入れとくか」という話が開発中によく出てくるが、それはやらないようにした。1枚だけ、文字は読まなくてもなんとなく印象に残るようにした。

IMG 3687

3. とりあえず絵が見たい

絵を見せる

※配布資料より転載

・リスト型のプロトタイプが普通すぎて読みたくない感じだった
  ↓
・絵+ボタンに
  ↓
・絵をグリッド上に配置してボタンをなくした

4. ダウンロードを待ちたくない

・プログレッシブダウンロード DLしなくてもとりあえず開く

・アンダーグラウンドダウンロード 先にダウンロードしておく

→「暇な時に気軽にタップしたらすぐ読める」を実現。ただし、回線が遅い国ではAPIの送りすぎで回線がパンクしてしまい、レビューが悪くなった。

 

継続利用:読んでもらうこと

・コンテンツの質で勝負

・マンガ雑誌×マンガアプリとして、毎日更新かつ週単位で号数が変わるようにした

マンガ雑誌×マンガアプリ

※配布資料より抜粋

 

自然流入:世の中に情報を増やす

・SNSにシェアすることで、先読みできるようにした → 拡散数増大

・ソーシャルとの3つの距離

 マンガ + ソーシャル  →やらない
 マンガ +(ソーシャル) →今後やる
 マンガのみ        →現状 → 今後も

→ゲームのソーシャル化とマンガのソーシャル化は違うので、「マンガ+ソーシャル」はやらない。

 

マンガボックスの開発を通じて思ったこと

・何かを世に出すからにはインパクトを与えたい

・意見言ってくる人は多いけど無責任な人も多い

・自信を持つためには圧倒的に考える

・でもシンプルに

 

質疑応答

Q. UI/UXデザイナーがトップ絵をつくる以外にやったことは?

A. 号を移動する際のアニメーションや、ビューアーを閉じる下スワイプアクションを提案してもらった。

Q. シェアする人の割合は?

A. DAU(Daily Active User)で10%の人がやっている。

 

所感

非常に具体的な内容で、アプリ・サービス開発にとても参考になるお話でした。

特に、「シェアして先読み」や「マネタイズ」の関係が絶妙だと感じました。ユーザーがユーザーを呼び、コアユーザーにお金を払ってもらう。教科書に載りそうなビジネスモデルです。

また、「4つの譲れないこと」というこだわりを貫き通したことは、「マンガボックス」のUX向上に確実に寄与しており、好感が持てました。

新規事業を起こしたくなりました。

Hiroki Hosaka

AIベンチャーのUXデザイナー/デザインマネージャー/CXO。メーカー→IoTベンチャー→外資系デザインコンサルを経て現職。このブログではデザインやUXに関するクリエイティブネタを発信しています。
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