認知心理学とUIデザインに関するメモ
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こんにちは、@h0saです。
約1ヶ月経ってしまいましたが、2014年7月17日に開催された、HCD-Net主催セミナー「認知心理学とUI,UX入門」に参加してきました。
UIデザイン業務に活かせる内容でしたので、ポイントを絞ってメモを残しておきます。
Contents
「認知心理学とUI,UX入門」メモ
認知心理学とは
・人の頭の使い方:知覚・理解・記憶・思考・学習・推論・判断・問題解決などの知的機能が研究対象。
・最近では、感情、感性、熱達、実践等の問題にも取り組むようになっている。
認知情報処理(人の頭の使い方)
・知覚(五感)
↓
↓←注意
↓
・認知
↓
・記憶(短期記憶、長期記憶)
↓
・理解(理解の枠組み=メンタルモデル)
↓
・判断
短期記憶
・短期記憶の記憶容量:7±2単位、保持時間2〜5秒
・短期記憶はどんどん上書きされるので、意味づけして長期記憶に残す必要がある
チャンク化
知識を利用し、知識に関連付けて、より大きな意味的まとまりをつくると記憶量、理解量が増す
スキーマとスクリプト
スキーマ
・スキーマ:ある対象についての一般的、通称的な知識
例)「彼女は金髪の美人で、目は青い」→ 顔についての一般知識を利用している
スクリプト
・スクリプト:定型的な一連の出来事の知識
例)レストランでは、入場→注文→食事→退場 の順で行動する
→あることが認知されたとき、適切なスキーマ、スクリプトが活性化されることで、「理解」に至る。
逆に言うと、例えば曖昧な言葉を聞いた時、人によって活性化されるスキーマ・スクリプトが異なるため、理解にズレが生じる場合がある。
→文脈を共有するなど、スキーマのずれを想定して情報をデザインする必要がある
行為遂行とその評価プロセスのモデル
ドナルド・A・ノーマンが提唱した実行と評価の橋渡しモデル。
引用:interaction: ソーシャルメディアマーケティングのHCI観点からのインプリケーション
このように実行と評価の段階を細かく分け、それぞれを分析することが役に立つこともある。
アフォーダンスとシグニファイア
アフォーダンス
・環境が動物に提供する「価値」「意味」
・アメリカの生態心理学者J.ギブソンが動詞 afford から造語した用語
・個体にとっての環境は、アフォーダンスが時空間的に配置されたもの。個体は、その時々のニーズに応じたアフォーダンスを知覚し、行為する。
→行為を(認知を介せずに)直接的に引き起こす環境の性質
シグニファイア
・何をすべきかを伝えるシンボル/行為の手掛かりになるもの
※@h0sa註:シグニファイアは知覚可能だが、アフォーダンスは知覚可能ではない。ノーマンの著書『誰のためのデザイン?』(1988年原著発売)では “アフォーダンス” を知覚まで含める表現にしていたが、12年後の著書『複雑さと共に暮らす』(2010年原著発売)において知覚まで含めるものを “シグニファイア” として別の言葉を使うように改めた。
習熟とエラー
習熟段階:認知的段階 → 体制化の段階 → 自動化の段階
認知的段階:知識ベース・・・初級者
特徴を感知
↓
認識(あの状況)、知識呼び出し(どうする?)、動作プラン(こうする)
↓
その操作系列の呼び出し
↓
動作
体制化の段階:手続き化されたルールベース・・・中級者
特徴を感知
↓
再認(ああ、あれだ)
↓
一連の操作系列の呼び出し
↓
動作系列
自動化の段階:スキルベース・・・上級者
特徴を感知
↓
自動化された動作系列
→習熟レベル別にエラー対策が必要。
初級者:知識ベースのミス → 参照資料やガイドを準備
中級者:判断の誤り、行動の失敗 → 練習(判断と行動の対応を強化)
上級者:予期的反応によるエラー → あえて行動を意識させる
おわりに
僕は大学でデザインを学びましたが、「認知心理学」に特化した授業はなく、ノーマンの著書『誰のためのデザイン?』『エモーショナル・デザイン』『複雑さと共に暮らす』あたりを読んでいただけだったので、今回改めて認知心理学についての講義を聴くことができ、勉強になりました。
個人的には「スキーマ/スクリプト」「習熟とエラー」あたりの話が目新しかったので、今後意識してみます。
参考サイト
認知心理学系認知科学とUI、UX入門 2014年07月17日 – 隣り合わせの灰と青春
参考文献
心理学とUIデザインと言えばこの本。読みやすくて視野が広がり、オススメです。