Android Wearを4ヶ月間着用してわかった、ウェアラブルデバイスのインタラクションデザインにおける3つのキモ
こんにちは、@h0saです。
いよいよApple Watchの発売が近付いてきましたね。どのモデルを買おうか迷っている今日この頃です。
さて、僕は現在とあるウェアラブルデバイスとそれを取り巻くサービスの全体的なUXデザインに携わっているのですが、昨年の12月にUX参考用にAndroid Wearを購入しました。買ったのは以下のASUS ZenWatchです。
使用してから約4ヶ月が経ち、ウェアラブルデバイスのインタラクションをデザインする際に気をつけるべきポイントがいくつかわかってきました。
今回はそれらのポイントをApple Watchの情報も交えて「3つのキモ」としてまとめてみました。
※今回の考察は、ウェアラブルデバイス用のアプリの話ではなく、全般的なウェアラブルデバイスそのもののインタラクションデザインについての話です。
※本記事執筆時の筆者の使用環境は、Android version 4.4.2(KitKat), Android Wear version 5.0.1です。以降の環境では本記事で言及している問題について解決されている可能性があります。
Contents
ウェアラブルデバイスのインタラクションデザインにおける3つのキモ
1. 通知の設定を自分好みにストレスなくカスタマイズ可能にする
1つ目のポイントは、通知の設定について。
Android Wear は「コンテキストに応じた通知を手軽に見られる端末」と言っても過言ではありません。メッセージを受信したり誰かにフォローされたりといった通常の通知だけでなく、場所や時間をトリガーにした通知を受信することができます。
参考:Context Awareness on Android Wear | Android Developers
しかし、使ってみて思ったのが、通知の設定が思い通りにできないということ。
基本的にはAndroid Wearが連携しているAndroid端末に来る通知がそのままWearにも流れてきます。Wearで見たくないアプリは、Wear上で直接Blockすることも可能ですが、例えば「TwitterアプリのMessageだけWearに通知したい」といった細かな設定まではできません(*)。
*Android version 4.4.2(KitKat)において。5.1(Lollipop)では、より細かな設定ができるようです。
参考:通知を管理する – Android Wear ヘルプ / 通知の設定 – Nexus ヘルプ
通知をアプリごとBlockすると本当にほしい通知までBlockされてしまうし、通知を常時ONにしていると手首が振動しすぎて煩わしいため、結局通知を「ミュート」にして使っています。なんとなく本末転倒です。
よりパーソナルなデバイスこそ、より細かなカスタマイズが必要ではないかと感じています。しかも、そのカスタマイズが気持ちよく、ストレスなくできることが重要。
その意味では、通知に限りませんが、Apple Watchのカスタマイズ性はAndroid Wearよりも勝っていると言えそうです。下記Engadgetの考察も興味深いです。
スマートフォンでは、ウィジェットなど外見も含めてカスタマイズの幅が広い一方で複雑になりがちなのが Android、ユーザーの選択肢は少ないもののシンプルでミニマルな UIが iOS といった印象がありましたが、スマートウォッチでは奇妙に逆転しているようでもあります。
– Apple Watch 対 ソニー SmartWatch 3 機能・仕様比較。Watch OS と Android Wear – Engadget Japanese
いかに通知の設定を自分好みに、かつ気持ち良くできるようにするかが、デザイナーやエンジニアの腕の見せ所ではないでしょうか。
2. 自然なジェスチャーをインタラクションに取り入れる
2つ目のポイントは、自然なジェスチャーや動作について。
Apple Watchでは腕を上げるだけで画面が点灯します。もちろん、Android Wearにも同様の機能が実装されています。
(今使っているASUS ZenWatchではこのモーション検知精度が悪く、腕をカッコ良く上げても画面が点かすにイラッとすることが多いです。)
また、Android Wearでは画面を手のひらで覆うことで、すばやく画面を暗くできます。これは結構便利。
このような人間の自然な動作に沿ったインタラクションは当然ながら、ウェアラブルデバイスにおいて必要不可欠です。
腕時計型に限らず、ヘッドマウンド型、ペンダント型、指輪型といった装着部位に応じて、自然なジェスチャーとそのインタラクションを考える必要があるでしょう。
3. 充電を可能な限りスムーズにできるようにする
最後のポイントは充電について。
Apple Watchでも懸念されていますが、ウェアラブルデバイスはそのサイズゆえに大型バッテリーを搭載できないため、どうしても稼働時間が短くなる傾向にあります。
僕が使っているASUS ZenWatchでも、2日に1回は充電が必要です。つい充電を忘れてしまい、時間すらわからない単なる腕輪をつけている状況に陥ることもしばしば。
このため、充電に関するエクスペリエンスは慎重にデザインする必要があります。
Apple WatchではMagSafeと電磁誘導充電というテクノロジーを用いて、充電への動線を可能な限りスムーズにしました。
一方、Misfit Shineは液晶画面を持たないことで、4ヶ月という長時間のバッテリーライフを実現し、「そもそも充電しない」という経験を提供しています。
ウェアラブルデバイスを開発する際、この「充電」という行為は必ず壁となって立ちはだかります。(バッテリーに関する技術革新が起きない限り。)
煩わしい充電のインタラクションを可能な限りスムーズにデザインすることが、本当に長く使ってもらえるウェアラブルデバイスになるための一歩だと考えます。
おわりに
以上、Android Wearを4ヶ月間使ってみて、特にインタラクションデザインについて考えたことを3つポイントとしてまとめてみました。
特に通知の設定については今も仕事で頭を悩ましている問題なので、他の人の意見も聞いてみたいです。
さて、Apple Watchどれにしようかな。
※購入後追記:SPORTの黒、38mm にしました。
参考文献
ウェアラブルデバイスやIoTに関するUXデザイン・インタラクションデザインについては、以下の2冊が洞察を得られます。