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Design Sprint(デザインスプリント)を体験して考えた、デザイン手法を組織に導入する際に気をつけるべきこと

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こんにちは、@h0saです。

2015年5月23日に開催された、WebUX研究会 デザインスプリントWSに参加しました。

その前にも、Design Sprint Night! というイベントに参加して Design Sprint の内容は理解していましたが、実際に自分で体験したいと思って足を運びました。

Design Sprint については様々な資料がオンラインに存在しますので詳しい説明は省きますが、以下の資料が一番参考になるかと思います。

 
Design Sprint の概要を一応まとめると以下。

  • Google Ventures がスタートアップ支援のために用いているプログラム
  • Design Thinking, Agile, Game Storming の方法論などをカスタマイズしたもの
  • 5日間で新規アイデアをプロトタイプとして具体化し、インタビューを通じて検証を行う

そして、Design Sprint のエッセンスは個人的に次の3点と考えています。

  • 意思決定者を巻き込み政治的な手戻りをなくすこと
  • 個人のアイデアを尊重すること
  • 時間制限をうまく使うこと

 
本記事では、「Design Sprint Workshopでやったこと」と、それを通じて考察した「デザイン手法を組織に導入する際に気をつけるべきこと」をまとめてみました。特に後者が本題です。

 

Design Sprint Workshop でやったこと

今回のWSは時間が4時間だけというのもあり、超エッセンシャル版でした。ファシリテーターは深津貴之氏で、深津氏が実際にGoogleのWorkshopで体験したものをベースにアレンジされていました。

簡単に流れをご紹介します。

Day 1:Understand(理解)

1日目のワークは、徹底的に情報を集めて問題について共通の理解を深めること。

今回は短時間のWSでしたので、事前に準備されていたプロトペルソナをチーム(4人)で話し合いながら詳細を深めていき、ニーズを定めました。

Needs

Day 2:Diverge(発散)

2日目のワークは、アイデアを死ぬほど出すこと。本WSではここに一番重点が置かれました。

まずはマインドマップを用いてプロトペルソナの周りにあるもの、関連ありそうなものを思いつく限り書いていきます。

Mindmap

そして、クレイジーエイト(Crazy8s)。A4用紙を8等分に折り、できたマス目にとにかく思いつくアイデアを書いていきます。個人ワークで5分で埋める(つまり1アイデアを40秒で描く)ことが目標。これがなかなかキツイ。

Crazy8s 1

1回目のクレイジーエイトの後、深津氏から絵の描き方のコツとして伝授されたのが、棒人間と吹き出しの描き方。この辺りのアレンジは深津氏の工夫が感じ取れ、「絵心がない」と思っている人たちに事前にTipsとして提供しておくのはアリだと思いました。

Bou

そして再度、クレイジーエイト。また埋まらなかった。。

Crazy8s 2

次に、クレイジーエイトで出したアイデアの中から一番良さそうなものを1つ選んで、アイデアの概要とストーリーボードを描いていきます。こちらも個人ワークで5分。

Idea

Storyboard

以上がアイデア出しフェーズで、投票に移ります。

ここまで個人で考えたアイデアを壁に貼って並べ、喋らずにドット投票(=Silent Critique)していきます。いくつでも、自分のアイデアにも投票可。

Voting

そしてようやく喋れるようになり、各自自分のアイデアを口頭で説明します。それを踏まえて金のシールを2つ持ち、最終投票(=Super Vote)します。

Sticker

これで2日目の内容は終了。

 

Day 3:Decide(決定)

3日目のワークは、プロトタイプを作成するアイデアを決定すること。

今回はWSのため最も得票数の多いアイデアを最終選定しましたが、本来であればCEOなどの意思決定者に決めてもらうのが良いようです。

最終アイデア選定後、改めてチームでそのストーリーボードをブラッシュアップします。

 

Day 4:Prototyping(試作)

4日目のワークは、プロトタイピング。

深津氏は『プロトタイピング実践ガイド』の著者でもあるため、同著の内容の一部を解説いただきました。

本来の Sprint では High Fidelity(高精度)なプロトタイプを作るべきですが、今回は短時間WSのため簡易的なペーパープロトタイプで代用しました。

各自で15分間ペーパープロトを作成し、それらを付き合わせて4コマにまとめました。

Prototyping 2

本WSではこれを用いてプレゼンを行い、ワークショップは幕を閉じました。

 

Day 5:Validate(検証)

今回は時間の都合でやりませんでしたが、5日目は作成したプロトタイプを用いてインタビュー行い、アイデアを検証します。

 
以上が Design Sprint の大きな流れと、本WSで行った内容でした。

 

考察:組織に導入する際に気をつけるべきこと

さて、ここからが本題。

今回のWSを通じて、Design Sprint に限った話ではないのですが、改めて「デザイン手法を組織に導入する際に気をつけるべきこと」について考えました。

以前からモヤモヤと考えていたのですが、今回のWSを機に言語化してみます。

体系化された手法を”そのまま”自分の組織に適用できることはまずない

今回のWSで体験したDesign Sprintは、あくまで Google Ventures が「クライアントが一定レベル以上のアウトプットを出すことができる」ように様々な手法を組み合わせて体系化したプログラムです。

このような,sto,体系化されたデザイン手法を “そのまま” 自分の組織・環境に適用することは経験的にまず難しいと感じています。

なぜなら、組織によって

  • ヒト(人材)
  • モノ(設備、環境)
  • カネ(予算)
  • 時間

といった要素が全く異なるからです。

 

手法のエッセンスを噛み砕き、最適な形にして組織に導入すべき

では、どうすればよいのか。過去にこんなtweetをしました。

すなわち、体系化された手法の一度自分なりに分解してエッセンスを抽出し、自分の組織に適用できるように再構築することが必要だと考えます。

手法の分解と再構築モデル 01

再構築の際には、上記「ヒト・モノ・カネ・時間」の視点や、自分の知見・経験を盛り込むのが良いでしょう。

例えば、社内に浸透している別の手法と組み合わせてみたり、メンバーの時間確保が難しければ時間を分割してみたり、外に出てインタビューできなければ社内で行ったり。

まさに深津氏のワークショップでも、棒人間やペーパープロトタイプの具体的な描き方のコツなどの講義を差し込み、自分流にアレンジされていました。

 

「なぜやるか?」にまで踏み込んでメソッドのエッセンスを抽出する

では、手法のエッセンスを抽出するにはどうすればよいのでしょうか。

切り口は以下の2段階があると思っています。

  1. How: どのようにそれをやるのか
  2. Why: なぜそれをやるのか

1段階目の How は簡単で、「どうやるか」を分解すれば良いだけです。デザインスプリントで言えば、「個人でブレストする」「決定時に意思決定者を巻き込む」などです。

大事なのは、2段階目の「なぜやるか」です。

例)

  • なぜ個人でブレスト?
    →集団でブレストすると声の大きい人のアイデアに影響されがち、かつ深いアイデアまで到達できない
  • なぜ決定時に意思決定者を巻き込む?
    →ただでさえ時間のないスタートアップの環境で、手戻りを少なくするため

この「なぜやるか?」にまで踏み込むことで、その手法の本質的なところが見えてきます。

そして再構築の際は、その本質部分を活かしながら自分の組織にフィットするようにアレンジしていくべき、というのが考察の結論です。

手法の分解と再構築モデル 02

 

手法の生まれた背景を知ることも大事

これを書いていて思い出したのは、昨年のHCD-Net Forumで聴いた、takram渡邉氏と千葉工大安藤先生のお話でした。以下、過去記事引用。

Q. takramでメソッドがいっぱい生まれる理由は?(戸山氏)
→毎回、前回のメソッドを使ってみる。しかし組織ごとに最適なメソッドは違う。チューニングを毎回行うことで、新しいメソッドが生まれていく。(渡邉氏)
→千葉工大のユーザー工学という授業では、手法の歴史を教えている。コンテクスチュアル・インクワイアリーは北欧の労働組合から云々。ペルソナの歴史。手法ではないんだ、ということがわかる。手法は必要に応じて考えられてきた。(安藤氏)
→『経営戦略全史』という本はフレームワークの生まれた背景が書かれている。安藤先生の話と一致する。(渡邉氏)

引用:HCD-Netフォーラム2014 参加メモ 〜デザイン思考/UXD/おもてなし〜 | UX INSPIRATION!

その手法がどのように生まれたかを知ることで、「なぜやるか?」の理解が促進され、より組織への導入に応用しやすくなるのは間違いありません。

 

おわりに

以上、Design Sprint WS体験を踏まえ、デザイン手法を組織に導入する際に気をつけるべきことを考察してみました。

改めて読み返してみると当り前のことを書いているような気がしますが、自分の思考が整理されたので良しとします。

 

参考文献

手法の作り方、見せ方、説明の仕方は takram design engineering が本当に上手だなーと思います。思想もかなり共感します。

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  • Hiroki Hosaka

    メーカー→IoTベンチャーを経て、グローバルなデジタルプロダクト会社に在籍するUXデザイナー。このブログではデザインやUXに関するクリエイティブネタを発信しています。詳細プロフィール

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