UXと時間軸についての考察:「UXタイムライン」と「UXタイムスパン」を活用してUXデザインを語ろう
こんにちは、@h0saです。
最近、UXと時間軸について考えており、「UXタイムライン」「UXタイムスパン」という2つのキーワードを組み合わせた考察を書き留めておきます。
「チーム内にUXデザインを普及させるには?」という視点で、2つの時間軸概念を活用する方法を考察しました。
UXタイムライン
先日、UXと時間軸に関する下記記事を読みました。
ユーザー体験をうまくデザインするために知っておきたい「UXタイムライン」とは – エンジニアtype
Webやアプリサービスの企画・開発で重要視されるようになっているユーザーエクスペリエンス(以下、UX)。
日本の成長を長年支えてきた家電製品が販売不調にな
この記事では、サンフランシスコと東京に拠点を構えるグローバルクリエイティブエージェンシーbtraxが提唱する「UXタイムライン」という考え方が紹介されています。
実はプロダクトだけがユーザーにエクスペリエンスを提供しているわけではない。そのプロダクトをしるきっかけとなるマーケティング、利用するチェンスを得る為のチャンネル、プロダクト自体、そしてその後のサポート等、利用プロセ スにおけるそれぞれの段階でユーザーが感じる体験全てが、UXを構成している。従って、優れたUXデザインを行うには、デザイナーだけではなく、マーケッター、セールス、プロダクト開発、そしてサポートに至るまで、企業でのあらゆる部署が一丸となって作り上げる必要があるのだ。
引用:ビジネスにおけるユーザーエクスペリエンス (UX) の重要性 | freshtrax | btrax スタッフブログ
どちらかと言うとビジネス視点で、「マーケター、セールス、プロダクトマネージャー、カスタマーサポートが協力して優れたUXをデザインしよう」というのが趣旨です。
図を見ると当たり前と思えるかもしれませんが、”Product”の前後にまでUXデザインの視点を取り入れている組織は(特に日本では)まだ少ないのではないでしょうか。
UXタイムスパン
上記記事を見て思い出したのが、UX白書で提唱されている「UXタイムスパン(期間)」という考え方です。
UXは、インタラクション中に感じる感情の特定の変化(一時的ux)、ある特定の利用エピソードに関する評価(エピソード的UX)、特定のシステムをしばらくの期間利用した後の見方(累積的UX)で表されます。予期的UXとは、ユーザーにとっての初めての利用よりも前の期間、あるいは上述の3つのUXの期間よりも以前のことだと言えます。なぜなら、人はインタラクション中のある特定の瞬間、利用エピソード、システムの利用経験後の生活を想像するかも知れないからです。
引用:UX白書(日本語訳版)
簡単に説明すると、UXを「利用前」「利用中」「利用後」「利用時間全体」という4つの期間で捉えるという考え方です。UXについて議論するときは、対象となる期間を明確にすることが重要です。
このタイムスパン、UXデザイナーにはすっと理解できるのですが、非デザイナーの方は具体的なイメージが湧かないかもしれません。
UXタイムライン × UXタイムスパン
ということで、これら2つを組み合わせたタイムラインを実験的に作ってみました。(個人で作成したものです)
このようにUXタイムラインに4つのUX期間をかぶせることで、例えばマーケターなら予期的UX(と累積的UX)を、カスタマーサポートならエピソード的UX(と累積的UX)を意識してもらうことができ、UX期間を明らかにして議論することが可能になります。
また、パッと見ると「累積的UX」が全体にまたがっているので、「ユーザー体験はすべてつながっているんだ」という意識を感覚的に持ってもらえます。
「そのデザイン、売上につながるの?」という問いへの回答
会社でたまに、「そのデザイン、売上につながるの?」というざっくりとした質問を耳にします。こういう時こそ、「UXタイムライン × UXタイムスパン」を提示して議論の的を明確にすべきです。
図を提示できない場合でも、頭の中でタイムラインとタイムスパンをイメージしながらポイントを明確にして回答すると良いでしょう。
例えば、そのデザインが愛着を持てるようなデザインで「エピソード的UX」に寄与するようであれば、リピーターが見込め売上につながります。目を引くプロモーション効果が強いようなデザインの場合は、「予期的UX」に寄与して新規顧客獲得につながるはずです。
おわりに
このように頭の片隅にUXと時間軸の概念を入れておくことで、UXについての説明や議論が容易になり、チーム内でUXを語る機会が増えることでしょう。
それをチームの文化、会社の文化にまで昇華させることが個人的な理想です。