DeNA プロジェクトオーナーが語る「マンガボックス」のUI・企画・ビジネスモデル
前回に引き続き、「非ゲーム系アプリ ビジネスモデル最前線」というイベントのレポートです。
前回:Moneytree創業者が語る、10年後を見据えたビジネスモデル
今回:DeNA プロジェクトオーナーが語る「マンガボックス」のUI・企画・ビジネスモデル
お話いただいたのは、DeNAプロジェクトオーナーの川崎渉氏。マンガ好きだそうです。「好きこそものの上手なれ」でしょうか。
以下、講演メモです。
Contents
「マンガボックス」のUI・企画・ビジネスモデル
マンガボックスとは
・アプリで読める週刊誌
・人気作家の描き下ろし連載
・基本無料
・複数出版社の作品が掲載
・同時に世界配信
ダウンロードの7割がiOSとのこと。
なぜDeNAがマンガを?
・DeNAはマンガ原作のゲームを出している
・マンガ業界の背景:
雑誌発行部数が毎年現象 = 発表の場が減少、 but マンガ需要は存在
→マンガ発表の場を再び拡大すべく、プラットフォームを作ることにした
・行動を変えるインパクト
有料のものを有料で提供 →普通
無料のものを無料 → 無駄
有料のものを無料 → 驚き!
・モバゲーのプラットフォーム構造を、マンガボックスにも適用:
「DeNA/デベロッパー → mobage → ユーザー」
↓
「DeNA/漫画家/出版社 → マンガボックス → ユーザー」
・マネタイズに関しては「単行本化」「映像化」「ゲーム化」これらのトータルでお金を稼げればいいと思っている
コアメンバー
・プロジェクトマネージャー
・iOSエンジニア
・Androidエンジニア
・サーバーエンジニア
・UI/UXデザイナー
開発中の意識
・永続的な成長モデル
※配布資料より転載
・プロモ流入:CM効果で2万DL/Day → 8万DL/Dayへ
・顧客獲得単価は結果的にテレビCMが一番安かった
初回利用:4つの譲れないこと
1. 登録不要
・継続者に対して入力をお願いしている。ポップアップを出した10%が入力してくれている。
2. チュートリアルは最小限
・「ここチュートリアルに入れとくか」という話が開発中によく出てくるが、それはやらないようにした。1枚だけ、文字は読まなくてもなんとなく印象に残るようにした。
3. とりあえず絵が見たい
※配布資料より転載
・リスト型のプロトタイプが普通すぎて読みたくない感じだった
↓
・絵+ボタンに
↓
・絵をグリッド上に配置してボタンをなくした
4. ダウンロードを待ちたくない
・プログレッシブダウンロード DLしなくてもとりあえず開く
・アンダーグラウンドダウンロード 先にダウンロードしておく
→「暇な時に気軽にタップしたらすぐ読める」を実現。ただし、回線が遅い国ではAPIの送りすぎで回線がパンクしてしまい、レビューが悪くなった。
継続利用:読んでもらうこと
・コンテンツの質で勝負
・マンガ雑誌×マンガアプリとして、毎日更新かつ週単位で号数が変わるようにした
※配布資料より抜粋
自然流入:世の中に情報を増やす
・SNSにシェアすることで、先読みできるようにした → 拡散数増大
・ソーシャルとの3つの距離
マンガ + ソーシャル →やらない
マンガ +(ソーシャル) →今後やる
マンガのみ →現状 → 今後も
→ゲームのソーシャル化とマンガのソーシャル化は違うので、「マンガ+ソーシャル」はやらない。
マンガボックスの開発を通じて思ったこと
・何かを世に出すからにはインパクトを与えたい
・意見言ってくる人は多いけど無責任な人も多い
・自信を持つためには圧倒的に考える
・でもシンプルに
質疑応答
Q. UI/UXデザイナーがトップ絵をつくる以外にやったことは?
A. 号を移動する際のアニメーションや、ビューアーを閉じる下スワイプアクションを提案してもらった。
Q. シェアする人の割合は?
A. DAU(Daily Active User)で10%の人がやっている。
所感
非常に具体的な内容で、アプリ・サービス開発にとても参考になるお話でした。
特に、「シェアして先読み」や「マネタイズ」の関係が絶妙だと感じました。ユーザーがユーザーを呼び、コアユーザーにお金を払ってもらう。教科書に載りそうなビジネスモデルです。
また、「4つの譲れないこと」というこだわりを貫き通したことは、「マンガボックス」のUX向上に確実に寄与しており、好感が持てました。
新規事業を起こしたくなりました。