『伝え方が9割』の内容をUIデザインに応用してみる

(2015/03/08 更新) UIデザイン | ,

『伝え方が9割』という本を読みました。

 
コピーライターの@keiichisasaki氏が「伝え方の技術」をまとめた本です。52万部超えだそうです。

もともと伝えることが得意でなかった筆者が、国際的な広告賞を多数受賞するまでに身につけた「伝え方」を体系化し、『「ノー」を「イエス」に変える技術』と『「強いコトバ」をつくる技術』という2つの切り口でまとめています。

シンプルにまとまっていて、何かを伝える際に見返したいと思える内容でした。そしてこれを読んでいて、特に『「ノー」を「イエス」に変える技術』については、「このテクニックはUIデザインにも応用できるのでは…?」と思うに至りました。

ビジュアルなインタラクションが行われる際、ユーザーは何かを見て、それに応答します。見るものは文章だったり、数字だったり、アイコンだったり、アニメーションだったり。

言い換えると、画面から「伝え」られる情報を見ながら、ユーザーは機器と対話します。

その伝えられる情報が「何かをお願いする内容」の場合、この『「ノー」を「イエス」に変える技術』が役立ちそうです。

以下、『「ノー」を「イエス」に変える技術』の概要と、私が考えたUIデザインへの活用法をご紹介します。

 

「ノー」を「イエス」に変える技術

「ノー」を「イエス」に変える技術には3つのステップと7つの切り口があります。

「イエス」に変える3つのステップ

1. 自分の頭の中をそのままコトバにしない
2. 相手の頭の中を想像する
3. 相手のメリットと一致するお願いをつくる

例文:
× デートしてください
◯ 驚くほど旨いパスタの店があるんだけど、行かない?

 

「イエス」に変える7つの切り口

1. 相手の好きなこと
2. 嫌いなことの回避
3. 選択の自由
4. 認められたい欲
5. あなた限定
6. チームワーク化
7. 感謝

例文:
× 芝生に入らないで
◯ 芝生に入ると、農薬の臭いがつきます(2. 嫌いなこと回避)

× 残業お願いできる?
◯ きみの企画書が刺さるんだよ。お願いできない?(4. 認められたい欲)

× 勉強しなさい
◯ 一緒に勉強しよう(6. チームワーク化)

 

UIデザインへの活用

では、UIデザインへの活用法を考えてみましょう。

ケーススタディとして、あるアプリのレビューをユーザーにお願いするシーンを考えてみます。何回かアプリを使ったユーザーに対して、「レビューをお願いします」という旨のポップアップを出すとします。

単に「レビューをお願いします」とだけ書かれても、「はい」を選んでくれるのはごく少人数でしょう。ここでは、『「ノー」を「イエス」に変える技術』を用いて、少しでも「はい」を選んでくれる人を増やす方法を考えてみます。

切り口:感謝

「いつもご使用ありがとうございます。レビューをお願いします!」

感謝のコメントを添えるのは王道でしょう。トイレでも「いつもキレイにご使用いただきありがとうございます」という張り紙をよく見かけます。レビューをお願いする際も、この方法は鉄板かと思います。

ただし、あまりにありふれているためパンチとしては弱いかもしれません。

 

切り口:認められたい欲

「いつもご使用ありがとうございます。あなたのフィードバックが開発チームの成長剤になります。ぜひレビューをお願いします!」

ユーザーのフィードバックを認める表現を入れてみました。少しレビューする気が出てきました。

 

切り口:チームワーク化

「いつもご使用ありがとうございます。あなたのフィードバックが開発チームの成長剤になります。一緒にこのアプリを改善していきましょう!ぜひレビューをお願いします!」

「一緒に〜〜しましょう」というユーザーを巻き込む表現を入れてみました。だんだん熱血系になってきました。

 

切り口:相手の好きなこと

「いつもご使用ありがとうございます。あなたのフィードバックが開発チームの成長剤になります。一緒にこのアプリを改善していきましょう!ぜひレビューをお願いします!星付けだけなら一瞬です!」

「一瞬」という言葉を使い、時間がかからないことを強調してみました。キャッチのお兄さんみたいになってしまいましたが、勢いで「はい」を押してしまいそうです。

 

おわりに

いかがでしたでしょうか。あまりに文章が長くなりすぎると逆に読む気が失せてしまう可能性がありますが、今回はケーススタディとして段階を踏んで切り口を加えていきました。

本来なら、効果的な切り口を厳選して組み合わせるのがベストでしょう。

レビューをお願いするシーンの他にも、以下のような表現に活用できるかと思います。

・してほしくない行為への注意喚起(子ども向けアプリで長時間の利用をやめるよう促すなど)

・アプリ内課金への誘導(このコンテンツより先はお金を払ってもらいたいなど)

 
以上、「伝え方」についても「UIのデザイン」と広く捉え、『伝え方が9割』の内容を参考にしてアプリのレビュー依頼メッセージを考えてみました。

 

参考書籍

Hiroki Hosaka

AIベンチャーのUXデザイナー/デザインマネージャー/CXO。メーカー→IoTベンチャー→外資系デザインコンサルを経て現職。このブログではデザインやUXに関するクリエイティブネタを発信しています。
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