イノベーションの参考に!多様性とアイデアの質について興味深いデータを見つけた。

こんにちは、@h0saです。

いま、『システム×デザイン思考で世界を変える 慶應SDM「イノベーションのつくり方」』という本を読んでいます。

 
本の概要はタイトル通り、イノベーションを起こすには「デザイン思考」と「システム思考」の2方面からのアプローチが必要、という内容。そのためのツールと活用事例が載っています。

Amazonでの説明は以下のとおり。

イノベーション創出のためのまったく新しい方法論「システムデザイン・マネジメント(SDM)」の考え方、手法、活用事例を集約した決定版テキスト。
正解のない問題に直面したとき、何をどう考えたらいいのか――。そのヒントがぎっしり詰め込まれた1冊です。
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僕がこの本で気になったのは、多様性とアイデアの質について述べられているページです。イノベーションにはよく「多様性」が大事と言われますが、その理由が興味深いデータとともに説明されていました。

以下、その内容をメモとしてまとめておきます。

 

アイデアの質の平均点は均一なメンバーの方が高い

「ハーバード・ビジネス・レビュー」に掲載された論文によると実は、アイデアの質の平均点は均一なメンバーの方が多様なメンバーに比べて高いそうです。

確かに、専門家が集まれば深い議論ができるため、一般的に質の高さは期待できるでしょう。

 

飛び抜けて優れたアイデアは多様なメンバーから生まれやすい

しかし均一のメンバーからは「それなりによいアイデア」は生まれますが、「飛び抜けて優れたアイデア」は生まれにくいそうです。

以下のグラフがその様子を物語っています。

多様性とアイデアの質

引用:『システム×デザイン思考で世界を変える 慶應SDM「イノベーションのつくり方」』p.26

このグラフを見ると、アイデアの平均点は低いものの、多様性を持ったメンバーからイノベーションの鍵となるブレークスルーを持ったアイデアが生まれやすいことがわかります。

専門家が集まっただけでは話題にも上がらない突飛なアイデアや、暗黙的なブレーキがないためでしょう。

 

注意すべきこと

ここで注意すべきと感じたのは、「多様なメンバーの方がアイデアの平均値が低い」というデータです。グラフにもある通り、多様性を持ったチームのアイデアの質は上下に散らばっています。

一回だけのブレストでは、多様なメンバーは均一なメンバーでアイデアの質で負ける可能性があります。せっかく多様性を持ったチームを作ったのに、結果が出なそうなので解散、ということになってしまうかもしれません。

そこで、単発のブレストでは、チームへの評価はアイデアの質ではなくアイデアの幅で評価する必要があるでしょう。

幅広いアイデアの中から良い物を拾い上げ、それをさらに多様なメンバーで膨らましていく。それを繰り返すことでイノベーティブなアイデアが生まれるはずです。

単発のブレストでアイデアの質だけを評価するのは危険、というのを読んで感じました。

 

おわりに

仕事が分業化されている大きな組織ほど、この多様性を持ったチームをつくるのが難しい傾向にあるかと思います。

しかし、元気のない日本の大企業からイノベーションの芽を生むためには、多様性を持ったチームは不可欠です。

そのチームをつくるための説得材料としても、今回ご紹介したデータは有効に利用できるでしょう。

また、メンバーとしてチームに参加する際にも、このデータを念頭に置いておくことでアイデアの質ではなく幅を見たり、良いアイデアがすぐに出なくても諦めずにブレイクスルーを持ったアイデアを期待できるなど、役立つと思われます。

 
その他、イノベーションをつくるためのTipsが多く載っているこちらの本はいろいろと参考になりそうです。

Hiroki Hosaka

AIベンチャーのUXデザイナー/デザインマネージャー/CXO。メーカー→IoTベンチャー→外資系デザインコンサルを経て現職。このブログではデザインやUXに関するクリエイティブネタを発信しています。
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