ZIBA濱口秀司氏が提唱する「3種類のプロトタイプ」の考え方が参考になった【追記あり】
日経デザイン2014年2月号に同梱されていた「Creative Thinking」という付録が地味に心に響きました。
「プロフェッショナルな経営者とデザイナーに向けてデザインの世界潮流と今必要なインサイトを届ける」という趣旨の付録だそうです。
中でも印象に残ったのは、ZIBA濱口秀司氏への巻頭インタビュー。特に「3種類のプロトタイプ」という話が参考になったので、ご紹介します。
※[2014/2/4 追記] 当記事のtweetを濱口さんご本人にRetweetしていただき、その流れで@hashccさまよりコメントをいただきました。こちらも参考になりましたので、記事の最後に追記しました。
ZIBA濱口氏が提唱する3つのプロトタイプ
1. ファンクショナルプロトタイプ
・「こうやって動く」という検証用
アプリ開発で言うと、ペーパープロトタイピングとか、InVisionを使ったシミュレーションですね。
2. デザインプロトタイプ
・リアリティーを感じさせるためのモックアップ
アプリ開発で言うと、PhotoshopやBRIEFSを使った、リアリティのあるシミュレーションですね。BRIEFSについては以下の記事が詳しいです。
参考:ディレクター必見!高度なアプリのプロトタイプが手軽に作れるサービス「BRIEFS」 | スマートフォンアプリ開発会社ディレクターブログ
3. コンテクスチュアルなプロトタイプ
・ストーリー的にこうだと説明するもので、カタログやテレビコマーシャルを実際に作ってみる
1,2まではよくやると思うのですが、この3つ目のプロトタイプは個人的に新しい視点でした。確かにKickstarterなどのクラウドファンディングサイトでは、よくムービーで3つ目のプロトタイプを流していたりします。
売る時の視点やプロダクト・サービスの強みを改めて考え直させるプロトタイプですね。特に新規性と不確実性が高いものについて有用そうです。
「この3つが揃えば、定量的データがない段階でも感覚的な判断ができる」とのこと。確かにその通りです!
[2014年12月9日追記]
この3種類のプロトタイプについての記事が出ています。
参考:濱口秀司氏が語る「社内説得」のジレンマと解 | Biz/Zine
「3つのプロトタイプは徹底的に分離してつくることがコツ」とのことです!
所感 – Lean UX のMVPを考える時に参考に –
最近『Lean UX』という本が日本でも発売になりましたが、リーン手法でのMVP(Minimum Viable Product)を作る際、濱口氏の3つのプロトタイプの視点は参考になると思いました。
開発者やデザイナー内では1のファンクショナルプロトタイプで事足りますが、見せるステークホルダーが増えるに連れて、デザインプロトタイプ、コンテクスチュアルプロトタイプの方がより説得力が増すでしょう。
どのタイミングでどんなプロトタイプを作っていくべきか、これからも試行錯誤してみます。
参考書籍:
追記:『モバイルフロンティア』でのプロトタイピングについて
冒頭でも書きましたが、@hashccさまより「3種類のプロトタイプ」についてコメントをいただきました。
@h0sa @hideshione 『モバイルフロンティア』という本では、前2つを戦術的プロトタイピング、後1つを体験的プロトタイピングと読んでいますね。私も聴いていたのですが、それぞれUI/VD/UXのプロトタイピングかなあと思って聴いていました。
— Hashimoto Naoki (@hashcc) February 3, 2014
『モバイルフロンティア』は積ん読状態だったのですが、さきほど該当部分を読みました。「戦術的プロトタイピング」と「体験的プロトタイピング」について、補足してみます。
戦術的プロトタイピング
・スケッチ
・ペーパープロトタイピング
・インタラクティブな実機を使ったプロトタイピング
体験的プロトタイピング
・ストーリーボーディング
・ボディストーミング
・スピードデーティングプロトタイピング
・コンセプトビデオ
体験的プロトタイピングは、より「未知」なものに対して有効。濱口氏の「コンテクスチュアルなプロトタイプ」とほぼ同義ですね。
よくデザイナーだけでアドバンストデザインプロジェクトをやると、コンセプトビデオがファイナルアウトプットだったりしましたが、コンセプトビデオもあくまで「プロトタイプ」。そんな当たり前のことに気付かされました。
参考書籍:
なお、濱口氏のイノベーション論については、こちらの記事にまとめています。
イノベーションを考えるために明日からできる3つのこと ー 濱口秀司氏の講演動画を見て | UX INSPIRATION!