ユーザーインタビューを行った後に気をつけるべき「選択的認知」とは
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先日、久しぶりにSchooの授業を聴講しました。
テーマは「ターゲット心理をつかむ、正しいユーザー調査・分析」。講師は人間中心設計専門家の羽山祥樹氏。
特に、インタビュー後は「選択的認知」に気をつけろ、という話が面白かったのでご紹介します。
選択的認知とは
選択的認知とは、認知のプロセスにおいて自己の経験や背景などに基づいて情報を選択したり、自己の関心や期待などを反映させること。
– GLOBIS MBA用語集より –
???
定義を読んでもよくわかりませんね。羽山氏の説明を借りると、以下のようになります。
「選択的認知 = 自分の興味のある情報ほど、目に入りやすい」
逆の言い方をすると、自分の興味のない情報は目に入ってこない、ということです。インタビュー調査後は、この「選択的認知」に気をつけろ、というのが授業の趣旨でした。
以下、授業内容をざっとまとめました。スライドはこちらをどうぞ。
概要(先にまとめ)
1. インタビュー調査ですべきは「ユーザー心理の全体をつかむこと」
2. インタビュー調査の結果を正しく理解するには、「選択的認知」を避ける必要がある
3. 「選択的認知」を避けるには、発話を細かく分けて、グループ化を繰り返す
インタビュー調査のポイント
・仮説を立てる
・いろいろな回答がくる
・「あたっていた!」と感じる ・・・これが選択的認知
→「仮説を検証しよう」と思ってインタビューすると、選択的認知の影響で大抵「あたっていた」となるので注意する必要がある。
→大切なのは、ユーザー心理の全体像をつかむこと!
全体像をつかむ分析の仕方
1. 発話を意味が1つになる単位まで細かく分ける
2. 細かく分けた発話の1つ1つを付箋に書いていく
3. 似ているカードをグループにする。ユーザー心理を考えてグループ化する
4. グループを代表するカードを選ぶ。グループとグループを線でつないでいく
5. 関係性の強いグループとグループを、大きく線で囲んで大きなグループにする
6. できた図をもとに、ユーザーの心理をわかりやすい資料に書き起こす
※ 4.で代表するカードの代わりに新たに代表する言葉を書き起こしてもよいが、それだとインタビューから出てきた言葉ではないため後から混乱することがある
→分析をすることで選択的認知を避け、ユーザー心理の全体像をつかむことができる。
より効率的にやるなら
・KA法
・メンタルモデル・ダイアグラム
質疑応答でのコメント
・インタビュー中、録音しながらメモを取る(付箋をダイレクトに書くのも良い)
・インタビューは過去の話 = 事実を聞くのが確実
・5人くらいインタビューすれば、全体像が見えてくる
・アンケートよりもインタビューの方が定性情報、インサイトが得られやすい。Why? Why? と聞ける。
おわりに
今後、インタビュー調査を行う際、このブログの内容を見返したいと思います。
なお、羽山氏が翻訳の一部を担当された、『メンタルモデル』という本が1/30に発売されたそうです。内容紹介を読む限り、かなり面白そう。近日中に読んでみます。
[2014年4月14日追記]
読みました。「メンタルモデルダイアグラム」「ギャップ分析」が使えそうです。記事にまとめましたのでぜひお読みください。