UIデザイナーにも役立つQuora:”今まで見た中で一番悪いデザインは?”というトピックが面白い!
QuoraというQ&Aサービスをご存知でしょうか?
Quoraは元 Facebook CTOのアダム・ダンジェロが立ち上げた、SNSの要素を取り入れた新しい形式のQ&Aサイトです。実名制かつ高品質なQ&Aサイトとして注目を集めています。
Quoraについては以下の記事を読むとサービスの概要がわかります。
このサイトでの質問、”What is the worst piece of design you have seen? ” (今まで見た中で一番悪いデザインは?)というトピックが面白かったので、いくつかピックアップしてご紹介します。
QWERTY配列ではないキーボードの携帯電話
QWERTY配列ではなくABCDEF配列のハードウェアキーボードを持つ携帯電話。PCに慣れた人には明らかに使いにくそう。インドでPCキーボードに慣れていない低所得者層に向けて販売されたようですが、結局全く売れなかった模様。この回答へのコメントが面白いです。
“これを見た瞬間、一瞬心臓発作を起こしたよ!”
“一体誰がこんなの思いつくんだ? どうやってトップの役員に承認されたんだ? ありえない!”
“QWERTYキーボードの意図と目的を誰かが教えてあげるべきだったね”
僕個人の意見としては、キー入力のスピードを速くするには学習コストがかかるため、このような配列に慣れてしまうとスタンダートであるQWERTYに移行しにくく、将来を見越したUXまでデザインされていない悪い事例と考えます。
いまやタッチパネルのソフトウェアキーボードが主流になりキー配列の制限がなくなったため、この手の失敗が起こることは減ると思いますが、「使用前/使用中/使用後」というUXの観点が抜けている良い例でしょう。
なお、日本人も慣れ親しんでいるQWERTY配列、実はドイツやフランスではQWERTZ配列だったりAZERTY配列だったりします。ご興味があれば当ブログの以下の記事をご参照ください。
iOS7の全45言語キーボード画面を5つのデザインパターンに分類してみた
【iOS7】GUIデザイナー必見!iOS7の全45言語キーボード画像一覧
エレベーターの開閉ボタン
この話題は、一時Web上でも盛り上がりましたよね。
間違えやすい「エレベーターの開閉ボタン」をJAYPEGでデザイナーたちがリデザインしてみた|NAVERまとめ
画像のような「開」「閉」ボタンが付いたエレベーターは最近ではほとんど見かけませんが、議論のきっかけになるには十分な画像です。
Quora上でも、様々な国籍の人がこの回答に対してコメントしています。個人的には欧米だけでなく中国や台湾からのコメントがあったのが印象的でした。中には
“この問題を考えるには、そもそもどういうシーンでこのボタンを使うのかを考える必要がある”
といったデザインの本質をつく意見を言う人がいたり、CUD(カラーユニバーサルデザイン)について言及する人もいたり。デザインについて見識のある人たちが集まっていることがわかります。
Quoraはこのような高いレベルでの議論ができるQ&Aプラットフォームのようです。
Google検索のトップ画面
WebのGUIについての回答もあります。
Google検索画面はかつて画面上にメニューバーが表示されていましたが、今は1つのアイコンに集約され、そこをクリック(タップ)するとメニューが出てくるようになりました。
これについての意見は賛否両論。
“クリックする一手間が増え、アクセスしにくくなった”
という新デザイン否定派から、
“タッチデバイス向けにより使いやすくデザインされている”
といった新デザイン肯定派まで。
いろんな視点の意見があるので、UIデザインについて自分が当たり前と思っていたことが実は海外では当たり前ではなかったり、といった発見があるかもしれません。
自分が気になるBad Designを投稿してみると、それに対するコメントからさらにデザイナーとしての視野を広げられそうです。
おわりに
“What is the worst piece of design you have seen?” (今まで見た中で一番悪いデザインは?) という質問を見た時、連想したのが学生時代に読んだドナルド.A.ノーマン氏の著書でした。『誰のためのデザイン?』『エモーショナル・デザイン』ではさまざまなBad Designが紹介されていたのが印象に残っています。
そんなBad Designたちについて国を越えて実名でディスカッションできる場が、Quoraです。
もちろんBad Designは一例に過ぎず、他にもQuoraにはDesign系の面白そうなトピックがたくさん。プロのデザイナーとして、これからもQuoraでの議論を注視していこうと思います。
参考書籍