2014年のサービスデザイントレンド by FJORD
明けましておめでとうございます。@h0saです。2014年、自身もこのブログも飛躍していく所存ですのでご注目ください。
さて、2014年はどんなデザイントレンドが生まれるのでしょうか。
デジタルの世界は動きが速くなかなか予測しにくいですが、世界にスタジオを構えるサービスデザインコンサルタンシー FJORDが “2014年にサービスデザインにインパクトを与えるトレンド” というものを昨年12月に発表しました。
(Fjordは昨年、Accentureに買収されたことでも話題になりました。)
Slideshareに上記資料がアップされています。UXデザインやサービスデザインの関係者は、一読しておきたい内容です。(トレンドが10個にまとめられており、それぞれ4ページの説明があります。)
今回は、資料を一読する時間がない方のために、内容を【超】意訳・要約してご紹介しちゃいます。
要約を見て興味を持たれたトピックは、ぜひ原文の方も読んでいただければと思います。
Contents
ANNUAL TRENDS 2014 by Fjord
Trend 1:機器たちと対話する
原文:IN CONVERSATION WITH OBJECTS
概要
・時計からピルケースに至るまで、あらゆる機器がつながり、我々の行動に関するデータを収集する。これらの機器はお互いに対話をし始め、存在が見えなくなっていく。機器のスマート化 (=Smartification) が進行
する。
・Google Glass やスマートウォッチといった新しい機器では、これまで自然だった行動の意味が変わり、議論を呼んでいる。
・ウェアラブル機器はファッションデザイナーに影響を与え、ファッションはテクノロジーに影響を与えるだろう。
Fjordの提案
・単に”ウェアラブル”チームを作ってはいけない。サービスデザインのアプローチを用いて、包括的な視点で新しいインタラクションのシステムをデザインしよう。
・センサー革命を背景に、単目的アプリを使ったサービスやエコシステムをデザインしよう。
・充電ケーブルをどう管理するか、といったユーザーを興ざめさせている単純な課題に取り組んでみよう。
Trend 2:通信キャリア3.0
原文:TELCO 3.0
概要
・スマートフォン市場は飽和状態だが、通信キャリアは新しいビジネスを創造するために改革を推し進めている。大手通信キャリアは垂直統合に注目している。
・APIマーケットに対して、通信キャリアは巨額の投資を続けるだろう。APIはモノのインターネット化に重要な役割を果たす。
・通信キャリアは人やモノが「つながる」ためのインフラとなる。
Fjordの提案
・通信キャリア3.0の幕開けとして、加速するM&Aに注目しよう。
・新しいサービスのビジョンを実現させるのは、魅力的なスタートアップではなく通信キャリアのインフラである。
・あなたの組織が通信キャリアとどうタッグを組めるか考えてみよう。ビジネスのインパクトが加速するだろう。
Trend3:生きたブランド
原文:LIVING ARROWS
概要
・ユーザーはプロダクトやサービスに対してより人間的な関係を期待している。(例:Appleのジーニアスバー)
・ユーザーとコラボすることにより、良い関係を構築するサービスが増えている。(例:Kickstarter、Good Eggs)
・ユーザーの自然な行動に添ったサービスを展開するブランドも増えている。(例:NordstromのPinterestを活用した品揃え)
Fjordの提案
・ブランドは顧客に寄り添うべき。
・ブランド価値を正しく伝えられるインタラクションや体験をデザインしよう。
・人と人との対話から得られる本物の理解を顧客に示そう。
Trend4:スマートな家
原文:THE DISTRIBUTED HOME
概要
・モバイル機器やセンシング技術を利用した家のスマート化に向けて、様々なスタートアップが参入してきている。(例:Nest Protect, August, Phillips Hue, Smart Power Strip, Dropcam, Smart Things)
・つながるのは家だけでなく、近所にも及ぶだろう。(例:NextDoor)
・家で監視されることに対する感情や、特別な状況への対応、バッテリー交換といった課題に取り組む必要がある。
Fjordの提案
・モバイル端末は家の中心物となる。
・「心配事をなくしたい」「消費電力を減らしたい」「簡単に使いたい」「安全でいたい」という4つのユーザーニーズから着手してみよう。
・公共料金の請求、保険、商品の自動宅配などを、スマートな家と結びつけて考えてみよう。
Trend5:目に見えないお金
原文:INVISIBLE MONEY
概要
・Bitcoinを初めとしたバーチャル通貨が、市場に大きな影響を与えている。
・若者たちにとって財布を持ち運ぶのは面倒くさくなってきており、モバイル決済が主流になりつつある。
・AppleのiBeaconやスタートアップのCoinはアーリーステージにいる。
Fjordの提案
・未来のユーザーは “digital footprint(デジタル足跡)” を管理する助けが必要になるだろう。
・お金はプライベートで繊細な話題である。ユーザーの生活上の目標達成をサポートするサービスを生み出そう。
・あなたの会社は、どんな新しい通貨や価値交換を取り入れられるだろうか?
Trend6:すべてのプロダクトは、サービスになるのを待っている
原文:EVERY PRODUCT IS A SERVICE WAITING TO HAPPEN
概要
・数多くの製品やサービスやが生まれる中、人々は「愛着を持つ時間」を持てずにいる。プロダクトとすばらしいサービスを結びつけて、適切な方法でタッチポイントを提供することこそ、ユーザーの心を掴み続ける。
(例:Nike+, Adidas miCoach, Disney Infinity)
・プロダクトとサービスの境界線は曖昧になってきている。
・「どう見えるか」よりも「どう行動するか」がブランドづくりで重要である。
Fjordの提案
・顧客と一緒に成長・成熟できるようなサービスにしよう。
・継続的な価値を生むサービスを提供することで、ユーザーと良い関係を持続して顧客ロイヤリティを得よう。
・ブランドは、大衆向けの製品から、有意義な生活を送る人々をサポートするロイヤルパートナーに生まれ変わる必要がある。
Trend7:ヘルスケア産業にはどんな処方箋が必要か
原文:WHAT PRESCRIPTION DOES THE HEALTHCARE INDUSTRY NEED?
概要
・デジタルヘルスケアは、真のイノベーションが起きない限り、大衆のものにならない。
・イノベーションを妨げている問題の1つは、急速に世界中の人々の寿命が延び、太ってきているという事実である。ヘルスケアコストの増大とスマートな医療技術への期待は、平行線を辿っている。
・技術投資は「情報収集」に重きを置かれており、最近ようやく「診察」に移り始めた。その次の「治療」については、新たな挑戦が必要である。“face to face”で設計されている従来のヘルスケアシステムを再考する必要がある。
Fjordの提案
・現状を打破するためには、広い範囲ではなく特定の問題に集中しよう。
・新しいサービスを提供する際、「既存の習慣を利用する」ことが成功への近道かもしれない。
Trend8:デジタル保険
原文:UNDERWRITING DIGITAL
概要
・ヘルスケア産業の発展やウェアラブル機器の流行は、保険業界にもインパクトを与える。
・例えば、ネットワーク化された家では、盗難や洪水による被害リスクを測ることができるようになる。ネットワーク化された車では、事故による損傷をより現実的に予測できるようになるだろう。
・2014年は、イノベーションを求めるデジタル保険会社が本物の顧客ロイヤルティを得ようとする年になる。
Fjordの提案
・保険業界にも、CDO(Chief Digital Officer)を登用すべき。
※参考:ガートナー、2014年までに行政機関で「最高デジタル責任者(CDO)」が増加すると予測 | Enterprise Innovation Japan
・センサーやデジタル技術が保険をどのように変えられるか考えてみよう。
・デジタル技術は顧客との関係は改善するだろうか?それともコストを削減するだろうか?
Trend9:サービスを提供する?しない?
原文:TO SERVE OR NOT TO SERVE
概要
・セルフサービスが蔓延してきている。スーパーマーケットでのセルフレジや、空港での航空券印刷など。これらの体験はしばしば広告で埋め尽くされる。
・セルフサービスにすべきところ、対面での応対をすべきところ、を理解する必要がある。
・「パーソナライズ」「透明化」「コンテキストに対応」することで、より良い経験を提供できる。
Fjordの提案
・いままで使えなかったり背後に隠れていた機能を、顧客は使いたいかもしれない。
・セルフサービスを楽しいものにしよう。
・顧客に使用権限を与えると、長期的に見てスムーズに物事が進むだろう。
Trend10:あなた自身がインタフェース
原文:YOU ARE THE INTERFACE
概要
・画面を使うUIから、身体(肌、目、脳波など)を使う Natural User Interface(NUI)へ。
・Kinectなどのジェスチャー操作を超え、生体認証(例:iPhone 5Sの指紋認証)が主流になりつつある。
・画面がなくなるわけではない。「画面 or NUI」ではなく、「画面 and NUI」と考えるべき。
Fjordの提案
・人間の行動を理解するために、様々な情報端末から得られるビッグデータを活用しよう。
・いまの子どもたちは、NUIや脳波を使ったインタフェースのエキスパートとなる。前の世代の人々と、彼らのインタフェースに対するニーズの違いを調べてみよう。
・プロダクトやサービスのリ・デザインに生体認証を活用できるか考えてみよう。
おわりに
いかがでしたでしょうか?拙い意訳でわかりにくかった部分もあるかもしれませんが、少しでも2014年のサービスデザイントレンドの雰囲気をつかんでいただけたら嬉しいです。
個人的にも仕事で様々なトレンドをまとめることがありますが、かなり大変な作業です。このような資料をオープンにしているFjordには感謝感謝です。
それにしても、資料の背景マゼンタページは読みづらかった。。来年の資料は改善してほしいです。笑
なお、意訳・要約に間違いがありましたら、コメントまたはTwitterでお知らせいただけると助かります!
最後までお読みいただきありあがとうございました。