iPhoneを紛失した体験をサービスデザインの視点で捉えてみる
先日、auのiPhone4Sを落として紛失しました。
その約2週間後、auから書面で連絡があり、無事手元に戻ってきました。
せっかくなので、その一部始終をサービスデザインの視点で捉え、UXを改善できるところを考えてみます。経緯から書くので、改善案を先に見たい方は一番下までスクロールしてください。
Contents
iPhoneを紛失して気づくまでの状況と経緯
・平日水曜10:00頃、永田町駅で半蔵門線から降りようとした時にポケットから落ちた(その前に携帯を使って、ポケットの差し込みが甘かったことを記憶)
・乗り換えようとして改札を出る前に気付いた
・携帯カバーの中には、PASMO定期つきクレジットカードが入っていた
→ 一度に「携帯」「PASMO定期」「クレジットカード」の3つを紛失したので、ダメージが大きかったです。この日は終日CEATEC(展示の記事はこちら、セミナーの記事はこちらを参照)を観る予定だったので、午前中は携帯捜索に奔走できました。
iPhoneを落としてまずやったこと
・手持ちのiPadで公衆無線LANがつながる場所へ行き、”iPhoneを探す”アプリを起動(しかし見つからず)、遠隔ロックをかける
・落としたことに気付いた駅の事務所に相談(しかし見つからず)
・交番へ紛失届を提出
・公衆電話を使うための小銭を崩すためにコンビニへ(ガム購入)
・公衆電話からクレジットカード会社に電話
・手持ちのiPadからFacebookメッセージで奥さんに携帯紛失したことを連絡
・駅の窓口でPASMOを止める
→ とにかく冷静になって、やるべきことを考えて1つ1つ実行しました。
iPhone(及びPASMOとクレジットカード)がなくて困ったこと
・電話ができない。公衆電話が少ない
・ネットが自由につながらない
・PASMOがないので切符を買わなければならない
・手持ち無沙汰な時に見るものがない
・すばやく写真が撮れない
・すばやくメモが取れない
→ 今までスマホで当たり前にやっていたことが急にできなくなりました。あまりに不便だったので、帰りにヤマダ電機に寄って、iPhone5Sに機種変してきました。笑
iPhoneが見つかって手元に戻るまで
・落としてから約2週間後、auから「見つかりました」という拾得通知が郵送された
・遺失物センターに電話で確認(すべて自動音声対応だった)
・飯田橋にある警視庁遺失物センターへ
・auからもらった拾得通知を係員に渡す
・10分ほど待たされる
・サインしてGet
→遺失物センターはひっきりなしに人が来ていました。こんなに落し物をする人がいるんだなぁと実感。。
サービスデザインの視点でまとめてみる
ステークホルダー(関わりのあった人)
– 拾ってくれた人、駅員さん、コンビニ店員、お巡りさん、クレジットカード会社の電話スタッフ、auの人、遺失物センターの係員
使ったもの/ツール/インフラ
– iPad(Facebook, iPhoneを探す)、公衆無線LAN、公衆電話、ガム、小銭、切符、auからの拾得通知、膨大な時間
クリティカルな問題
– 手持ちのiPadで「iPhoneを探す」が効かなかったこと
→ 駅の窓口で見た案内では、「届いた携帯電話の電源はOFFにします」と書いてあった。正直、OFFにされちゃあ困ります。落として気づいた後、すぐにどこの駅にあるかがわかれば、傷口は広がらなかったはずです。
改善案
・「iPhoneを探す」を有効に機能させるためには、電源を切らないでください。駅員さん。
・電源を切るとき、GPSだけ有効にする「落し物モード」を追加してください。アップルさん。
・それか、電源を切る時にパスコードを入力させる(5Sなら指紋認証)ようにしてください、アップルさん。→これは日本だけでなく、盗難の多い外国でも有効なのでは?
その他、サービス/ビジネスアイデア
・公衆電話行く前にどうせコンビニに寄ったので、コンビニが緊急用に固定電話を貸すサービスを始めたら?
・最近はミニストップみたいに座れるコンビニも増えてきたので、PCを1台有料で使えるようにしてみたら?むしろコンビニにネットカフェ併設しちゃったら?
・落としたあとのいろいろな手続きが大変だったので、「落し物捜索代行サービス」を立ち上げちゃえば?
おわりに
遺失物センターにはひっきりなしに人が来ていて、あそこで働かれている公務員の人件費が正直もったいないと思いました。
サービスデザインの視点で「落し物」に関するUXを見直すことで、遺失物センターに届く落し物を減らし、節税、ひいてはもっと生産的な業務への移行につながるのではないでしょうか。
オリンピックのプレゼンで滝川クリステルが「日本は落し物が戻ってくる」と言っていて、本当に戻ってきてさすが日本だなぁと誇らしげに思いつつ、「そもそも落し物を減らすには?」ということ考えさせられた体験でした。
まだまだサービスデザインは勉強中の身なので、別の視点での切り口や、有効なツールがあるかもしれません。もし気づいた点があれば、Twitterやコメントで教えていただければ幸いです。