0→1(ゼロからイチ)をデザインすることについての考察

(2014/08/14 更新) デザイン, イノベーション |

0→1という言葉が好きな、@h0saです。

何もないところから新しいものごとを生み出すことに楽しさを覚えます。
(小さい頃から「塗り絵」は大嫌いで、初めから自分で絵を書くのが大好きでした。)

さて、最近自分の「デザイン」に対する価値観を整理しているのですが、なんとなく「0→1」という言葉が頭に浮かんできました。

ビジネスにおいて0→1が語られる文脈には2つのパターンがあると思っています。

パターン1:「-1→0、0→1」
パターン2:「0→1→10→10000」

以下、2つのパターンに対する自分の考えをまとめてみました。

 

パターン1:「-1→0、0→1」

ひとつめは、「-1→0 は問題解決、0→1 は新しい価値を生み出す」という視点。

言い換えると、「-1→0:課題解決型アプローチ」「0→1:着想育成型アプローチ」です。

このあたりは、以前黒須正明教授が「もっと課題解決型の取り組みを」と題して論じられ、議論になりました。(それに対する安藤昌也先生の意見はこちら(Facebook)。)

個人的には、世界を良くするにはどちらのアプローチも必要で、大事だと思っています。

ただ、僕自身が熱意を持ってやりたいのは、後者(0→1)のアプローチです。新しい体験はときに問題自体をかき消してしまうことがあるからです。

例えば、恐怖を冒険に変えたMRIデザインの事例。

参考:恐怖を冒険に変えたUX 〜 デザインで魔法をかける | 株式会社LIG

PirateHospital04

画像引用:A Pirate-themed CT Scanner in New York Children Hospital | Coolplaces | Daily Inspiration on WhereCoolThingsHappen

純粋に「乗りやすさ」「静音性」といった既存の課題を改善するだけでは、事例のような「子どもの恐怖心」までは払拭できません。

「MRIをアドベンチャーゲームにする」という全く新しい角度からアイデアを発想することで、そもそもの「乗りやすさ」といった議論は一旦置いておくことになります。

優れたUXは、-1を一気に1までジャンプさせることもあるのです。

※決してユーザービリティを改善することが必要ないと言っているわけではありません。根本的な問題解決には新しい価値を生むアプローチが求められていると言いたいのです。以下のふたつめの視点で、そのあたりを書きます。

 

パターン2:「0→1→10→10000」

ふたつめは、「0→1 は事業を立ち上げる、1→10 は立ち上げた事業を成長させる、10→10000 は事業を拡大させる」という視点。

0101000010001

画像引用:WSL_濱口秀司_「認知バイアス」にイノベーションのカギがある on Vimeo

ここで言う0→1も、「新しい価値を生み出すこと」で、パターン1と意味しているところは同じです。ただ、パターン2ではその先の1→10、10→10000 も語られます。

「0を1にする力」と「1を10にする力」は違うとよく言われますが、それぞれのフェーズでそれぞれを得意とする人材を集めることが重要です。

ユーザービリティ改善はどちらかと言えば1→10以降で求められ、事業の成長・拡大をドライブするものと考えます。

僕自身は可能な限り0→1のフェーズに関わろうと日々行動しています。

 

つまり、0→1 は「イノベーション」

結論。どちらの「0→1」も、今までにないものを生み出す点では「イノベーション」にほかなりません。

最近、「デザイン思考」という言葉や「経営にデザインを」という話をよく(ようやく)耳にするようになりました。真に価値のある0→1を生み出すには、事業戦略にデザインの視点を取り入れること(=デザインマネジメント)が不可欠です。

こういった流れの中で、僕自身が「このゼロからイチは自分が生み出した!」と早く言えるよう、がんばります。

 

参考書籍

Amazonの「会社経営」カテゴリで1位を獲得した本。最近読了しましたが、すばらしい内容です。近日中にこのブログでも取り上げたいと思っています。

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

Hiroki Hosaka

AIベンチャーのUXデザイナー/デザインマネージャー/CXO。メーカー→IoTベンチャー→外資系デザインコンサルを経て現職。このブログではデザインやUXに関するクリエイティブネタを発信しています。
詳細プロフィール